2011年3月21日月曜日

震災、原発、そして新刊

まずは震災で亡くなられた方のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
津波で家が流されている映像はドイツで見ましたが、現実のものとは思えず、
信じられない気持ちで帰国しました。帰国後、まず茨城にある両親の自宅の
壁が壊れ、その修理をしなくてはならないという現実に直面しました。
そして毎日テレビで悲惨な被災地の様子が映し出されているのを見て、
あまりにも酷い状況に心を痛めています。親を探す子供の映像を見た時には
涙が出てきました。
そして原発の問題でいま日本に暗雲が垂れ込めています。
日本はこれからどうなるのか、本当に心配です。
こういうときこそ、日本にある英知を結集して、次々と起こる問題に
素早く対応していく体制が必要なのではないでしょうか。そして、
問題の発生を予想して、早めに手を打っていくことの方がさらに
大事です。
これから何が起こり得るのか、それは専門的知識も必要ですし、
同時により広い視野で全体を見渡せる能力も必要です。一人の頭に
こういう両方の能力がないといけません。単なる一つの分野の専門家が
何人も集まるのとはわけが違います。こういったスーパーマンのような
人は日本にいるのでしょうか。実はこういう頼もしい人は少なからずいるのです。
政府はこういう人を普段からアンテナを張って必要な時にいつでも
召集できる体制を作っておくべきです。そうすれば、長期的な予測に
たった的確な行動が今とれるようになるでしょう。
どのように物資を被災地に運べばよいのか、そしてどのように避難者に
住居を提供していくのか、原発の問題の長期的な見通しとシナリオ、
今後の震災対策、原発の安全性、日本経済の安定など、すべてきちんと
議論していかなくてはなりません。
これを考えるためのスーパー人材を集めることが急務です。そしてその
人たちは、日常の業務を離れ、この危機対応に没頭できる環境を用意することが
大切です。
こうした人材は、やはり数学的な思考がベースに必要だと思います。あるいは
論理的思考と言っても良いです。しかしそれだけでなく、血が通った数学
が実際には必要です。人の気持ちを考えた、温かい数学です。こうした
ものはなかなかトレーニングが難しいですが、昨年に実は高校生相手に
こうした数学を教える取り組みをしました。いまこの時期に、何の縁か
分かりませんが、これを本として出版することになりました。
朝日出版から今月末に出る「とんでもなく役に立つ数学」です。
高1レベルから読める内容になっていますので、手に取って見て頂けると
私の言っている血の通った数学の意味が伝わると思います。数理的な思考を
ベースに、社会のいろいろな課題を横断的に考えることの大切さ、そして
楽しさを少しでも感じて頂けたら幸いです。


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